労災で休業中に解雇された——それ、違法です。解雇制限のルールと対処法
労災で療養中なのに、会社から「もう続けられないだろう」「代わりを雇ったから」と解雇を告げられた——ケガの不安に加えて職まで失うのは、二重の打撃です。しかし知っておいてください。労災の療養のために休業している期間と、その後30日間の解雇は、労働基準法19条で明確に禁止されています。
労働基準法19条——業務災害の解雇制限
業務上のケガ・病気の療養のために休業する期間およびその後30日間は、会社は労働者を解雇できません。この期間中の解雇は法律上無効です。「休業が長い」「復帰の見込みが立たない」といった理由でも、この制限は原則として破れません。
①療養開始から3年経過後に会社が打切補償(平均賃金1,200日分)を支払った場合(傷病補償年金を受けている場合の特則あり)/②天災事変等で事業の継続が不可能になり、労基署長の認定を受けた場合。
→実務上、この例外が使われることはめったにありません。「例外だ」と主張されたら、まず疑ってください。
※通勤災害の休業には19条の適用はありませんが、その場合でも解雇には客観的合理的理由と社会的相当性が必要であり(労働契約法16条)、労災休業を理由とする解雇は無効と判断される可能性が十分あります。
「自分から辞めた」ことにさせられないでください
解雇制限があることを知っている会社ほど、解雇ではなく「自主退職」へ誘導してきます。次のような言葉には要注意です。
- 「退職届を出してくれれば、退職金は満額払うから」
- 「休職期間が終わるので、規定により退職扱いになります」
- 「一度退職して、治ったらまた雇うから」
- 「労災を続けるなら会社にいづらくなるよ」
退職届には絶対にすぐサインしないでください。自主退職の形を取ると、解雇制限違反を主張できなくなり、失業給付の面でも不利になります。口約束の「また雇う」が守られなかった相談例は数えきれません。やり取りは録音・スクリーンショットで残しましょう。
解雇を告げられたときの対抗手段
- 解雇理由証明書を請求する——会社は請求されれば交付義務があります。理由を書面で固定させることが第一歩です
- 「解雇は無効と考えており、就労の意思がある」旨を内容証明等で通知する——争う姿勢を明確にします
- 地位確認・未払賃金の請求——交渉、労働審判、訴訟で解雇無効を争い、解雇期間中の賃金(バックペイ)を請求できます
- 労災の損害賠償請求と併せて進める——違法解雇への慰謝料や、安全配慮義務違反に基づく賠償を一体で交渉することで、解決の幅が広がります
退職しても、労災の権利は失われません
仮に退職が避けられなかった場合でも、労災保険の給付(休業補償・後遺障害の補償)は退職後も継続して受けられますし、会社への損害賠償請求権も失われません(時効は原則5年——時効の解説はこちら)。「辞めたからもう請求できない」というのも、よくある誤解です。
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