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弁護士コラム

安全配慮義務違反とは——会社に損害賠償請求できる典型例10選

安全配慮義務のイメージ

「労災に遭ったが、会社を訴えることなんてできるのか」——できます。会社に安全配慮義務違反があれば、労災保険とは別に、慰謝料や逸失利益を含む損害賠償を請求できます。このコラムでは、安全配慮義務の意味と、賠償責任が認められやすい典型的なケース10選を解説します。

安全配慮義務とは——労働契約法5条

労働契約法5条は、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定めています。もともと判例(最高裁昭和50年・昭和59年判決など)で確立された義務が、法律に明文化されたものです。

ポイントは、会社の義務が「事故が起きたら補償する」ではなく、「事故が起きないように先回りして配慮する」義務だという点です。設備・人員・教育・労働時間管理まで、配慮すべき範囲は広く及びます。

損害賠償請求できる典型例10選

  1. 機械に安全カバー・安全装置がなかった——プレス機や切断機の挟まれ・巻き込まれ事故の典型。安全装置を意図的に外して運用していた場合はより重い責任が問われます。
  2. 高所作業で墜落防止措置がなかった——手すり・安全帯(墜落制止用器具)・安全ネットの不備。建設現場の墜落事故で最も多い類型です。
  3. 安全教育・作業手順の指導が不十分だった——入社直後・配置転換直後の労働者や外国人労働者の事故で特に問題になります。
  4. 危険な作業を一人で行わせていた——監視者・補助者を置かず単独作業させ、事故時の救助も遅れたケース。
  5. 人員不足のまま無理な作業をさせていた——介護現場の一人介助による腰痛・転倒事故などが典型です。
  6. 長時間労働を放置していた——過労による脳・心臓疾患、うつ病などの精神疾患。労働時間の管理そのものが安全配慮義務の内容です。
  7. 整理整頓・床面管理・照明など作業環境の整備を怠っていた——濡れた床や油汚れによる転倒事故は「本人の不注意」で片付けられがちですが、環境整備の不備は会社の責任です。
  8. 暑熱環境への対策を怠っていた——WBGT値(暑さ指数)の把握、休憩・水分補給の確保などを怠った熱中症事案。
  9. 健康診断後の措置・体調への配慮を怠っていた——健診で異常所見があったのに深夜勤務や重労働を続けさせた場合など。
  10. ハラスメントを放置していた——パワハラの相談を受けながら対応せず、精神疾患を発症させた場合。職場環境配慮義務の違反となります。

ひとつでも心当たりがあれば、損害賠償請求を検討する価値があります。

雇い主以外にも請求できる場合があります

下請の労働者・一人親方現場を実質的に支配・管理していた元請会社に安全配慮義務が認められる場合があります。
派遣社員実際に指揮命令をしていた派遣先にも安全配慮義務があります(派遣元と併せて請求可能な場合も)。
同僚の作業ミスによる事故会社は従業員の加害行為について使用者責任(民法715条)を負います。

請求できる損害項目

治療関係費、休業損害(労災給付でカバーされない部分)、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料、逸失利益などです。労災保険から受給した分は差し引かれますが(損益相殺)、特別支給金は差し引かれないなど、計算には専門的な調整が必要です。

証拠の集め方——早いほど有利です

  • 事故現場・機械・作業環境の写真、動画
  • 目撃した同僚の氏名・連絡先(可能なら簡単なメモや録音)
  • 作業指示の記録(LINE・メール・業務日報・シフト表)
  • 労働基準監督署の調査資料(災害調査復命書等は後日開示請求できます)
  • タイムカード・勤怠データ(長時間労働事案)

時間の経過とともに現場は改修され、証拠は失われていきます。損害賠償請求権の時効は原則5年ですが、証拠保全の観点からは一日でも早いご相談をおすすめします。

「会社に請求できるか」を弁護士が無料で診断します

事故の状況をお聞かせいただければ、安全配慮義務違反の見込みと請求できる金額の目安をご説明します。

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