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労災用語集

労災の手続きや会社への損害賠償請求では、聞き慣れない専門用語が数多く出てきます。このページでは、被災された方やご家族が知っておくと役立つ重要用語31語を、弁護士がわかりやすく解説します。より詳しい解説があるものは、各コラムへのリンクを付けています。

労災保険の基本

労働災害(労災)
仕事が原因で労働者がケガ・病気・障害を負い、または死亡すること。仕事中の事故による「業務災害」と、通勤途中の事故による「通勤災害」に大別されます。突発的な事故だけでなく、腰痛・熱中症・過労による脳心臓疾患・パワハラによる精神疾患なども含まれます。
業務災害
業務が原因で生じた負傷・疾病・障害・死亡のこと。認定には「業務遂行性」(仕事中に起きたか)と「業務起因性」(仕事が原因といえるか)の2つの観点から判断されます。
通勤災害
住居と就業場所の往復など、通勤の途中で被った負傷等のこと。合理的な経路・方法での移動中であることが要件で、私的な寄り道(逸脱・中断)の間は原則対象外ですが、日用品の購入など日常生活上必要な行為なら経路復帰後は再び対象になります。▶ 詳しくは:通勤災害になる場合・ならない場合
労災保険(労働者災害補償保険)
労働災害に遭った労働者やその遺族に、国が保険給付を行う制度。労働者を1人でも雇う会社は強制加入で、保険料は全額会社負担です。正社員だけでなくアルバイト・パート・派遣社員も対象で、会社が加入手続きを怠っていても給付は受けられます。
給付基礎日額
休業補償や障害補償など各種給付の計算のもとになる、1日あたりの賃金額。原則として、事故直前3か月間に支払われた賃金総額(ボーナスを除く)をその期間の暦日数で割って算出します。▶ 詳しくは:休業補償はいくら・いつまでもらえる?
特別支給金
労災保険の各給付に上乗せして支給されるお金(休業特別支給金=給付基礎日額の2割、障害特別支給金、遺族特別支給金300万円など)。重要な特徴は、会社への損害賠償額から差し引かれないことで、受け取っても賠償請求で不利になりません。
労働基準監督署(労基署)
労災保険給付の請求先であり、支給・不支給を決定する行政機関。労働安全衛生法違反の調査・取締りも行います。労災の申請は会社経由ではなく、事業場を管轄する労基署に対して行います。
労災隠し
会社が労働者死傷病報告を提出しなかったり、虚偽の報告をしたりすること。労働安全衛生法違反の犯罪です。「労災を使わず健康保険で治療して」という会社の依頼に応じると、適正な補償を受けられなくなるおそれがあります。▶ 詳しくは:労災隠しへの正しい対処法
特別加入
本来は労災保険の対象外である一人親方・中小事業主・フリーランスなどが、任意で労災保険に加入できる制度。建設業の一人親方が代表例です。未加入でも、働き方の実態によっては労働者と認められたり、元請会社に賠償請求できたりする場合があります。▶ 詳しくは:一人親方がケガをしたら

給付の種類

療養(補償)給付
労災によるケガ・病気の治療費・入院費・薬代などをカバーする給付。労災指定病院なら窓口負担なしで治療を受けられます。治癒または症状固定まで、期間の上限なく続きます。
休業(補償)給付
療養のため働けず賃金を受けられない日について、休業4日目から支給される給付。給付基礎日額の6割(+特別支給金2割で合計8割)が支給されます。最初の3日間(待期期間)は、業務災害の場合は会社が平均賃金の6割を補償する義務があります。▶ 詳しくは:休業補償はいくら・いつまでもらえる?
障害(補償)給付
症状固定後に後遺障害が残った場合の給付。認定された等級に応じ、1〜7級は年金(毎年継続支給)、8〜14級は一時金(1回のみ)が支給されます。年金か一時金かで生涯の受給総額が大きく変わるため、7級と8級の境界は特に重要です。▶ 詳しくは:後遺障害等級1級〜14級の早見表
傷病(補償)年金
療養開始から1年6か月を経過しても治らず、傷病等級(1〜3級)に該当する重い状態が続く場合に、休業補償給付から切り替わって支給される年金です。
遺族(補償)年金
労働者が労災で亡くなった場合に、その収入で生計を維持していた遺族に支給される年金。遺族の人数に応じて給付基礎日額の153日分〜245日分が毎年支給されます。受給資格者がいない場合は一時金(給付基礎日額1,000日分)となります。▶ 詳しくは:家族が労災事故で亡くなったら
葬祭料(葬祭給付)
労災で亡くなった方の葬祭を行った人に支給されるお金。31万5,000円+給付基礎日額30日分(または給付基礎日額60日分の高い方)です。
介護(補償)給付
障害(補償)年金または傷病(補償)年金の受給者のうち、一定の重い障害により現に介護を受けている場合に支給される給付です。常時介護と随時介護で支給額が異なります。

後遺障害

症状固定
治療を続けても、これ以上症状の大きな改善が医学的に見込めなくなった状態。完治とは異なります。症状固定になると療養・休業の給付は終了し、後遺障害の等級認定という次の手続きに進みます。固定時期の判断は等級や賠償額を左右する重要ポイントです。▶ 詳しくは:「症状固定」と言われたら
後遺障害等級
症状固定後に残った障害の重さを、国の基準で1級(最重度)から14級までに区分したもの。等級によって労災保険の障害給付だけでなく、会社に請求できる慰謝料・逸失利益も大きく変わります。等級が1つ違うと数百万円の差が生じることもあります。▶ 詳しくは:後遺障害等級1級〜14級の早見表
後遺障害診断書
症状固定時に主治医が作成する、残った症状を証明する診断書。等級認定審査の最重要資料で、ここに記載のない症状は原則として評価されません。作成前に自覚症状を漏れなく医師に伝え、必要な検査を受けておくことが重要です。
労働能力喪失率
後遺障害によって労働能力がどれだけ失われたかを示す割合。等級ごとに目安が定められています(例:14級5%、12級14%、8級45%、1〜3級100%)。逸失利益の計算の基礎になります。
逸失利益
後遺障害や死亡がなければ将来得られたはずの収入の喪失分。「基礎収入×労働能力喪失率×就労可能年数に対応する係数」で計算し、重い等級では数千万円規模になる、損害賠償の最大項目のひとつです。労災保険の障害給付では全額はカバーされず、差額を会社に請求できます。
審査請求
労基署の決定(不支給や等級)に不服がある場合の申立て。決定を知った日の翌日から3か月以内に労働者災害補償保険審査官へ行います。さらに再審査請求・取消訴訟という手段もあります。覆すには新たな医学的資料の提出が鍵になります。▶ 詳しくは:審査請求・再審査請求の進め方

損害賠償

安全配慮義務
労働者が生命・身体の安全を確保しながら働けるよう、会社が配慮すべき法律上の義務(労働契約法5条)。安全装置の不備、安全教育の不足、長時間労働の放置などがあれば義務違反となり、会社は労災保険とは別に損害賠償責任を負います。▶ 詳しくは:安全配慮義務違反の典型例10選
使用者責任
従業員が業務中に他人に損害を与えた場合に、会社(使用者)が負う賠償責任(民法715条)。同僚の作業ミスや運転ミスで被災した場合、その同僚を雇う会社に賠償請求できる根拠になります。
慰謝料
事故による精神的苦痛に対する賠償金。入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料の3種類があります。労災保険からは慰謝料は一切支払われないため、受け取るには会社等への損害賠償請求が必要です。▶ 詳しくは:労災の慰謝料はいくら?
過失相殺
被災者側にも落ち度(過失)がある場合に、その割合分だけ賠償額を減額すること。ただし労災保険の給付は過失があっても原則満額です。損害賠償でも、裁判所は「労働者のミスを前提に安全を確保するのが会社の義務」と考えるため、過失相殺が限定的にとどまる例は少なくありません。▶ 詳しくは:過失相殺でどこまで減額される?
損益相殺
労災保険から受け取った給付を、会社に請求する損害額から差し引く調整のこと。二重取りを防ぐ仕組みですが、特別支給金は差し引かれないなど例外があり、計算には専門的な判断が必要です。
示談
裁判をせずに、当事者の合意で賠償額などを決めて紛争を終わらせること。一度成立すると原則やり直しできません。示談書には「その余の債権債務がないことを確認する」という清算条項が入るのが通常で、サイン後の追加請求はできなくなります。▶ 詳しくは:示談書にサインする前に確認すべき5つのこと
清算条項
示談書に入れられる「本件に関し、この示談書に定めるほか、互いに何らの債権債務もないことを確認する」という条項。この一文により、示談後に後遺症が悪化しても原則として追加請求できなくなるため、サイン前に内容と範囲を必ず確認すべき条項です。
消滅時効
権利を行使しないまま一定期間が経つと、権利が消滅する制度。労災保険給付は療養・休業が2年、障害・遺族が5年。会社への損害賠償請求権(人身損害)は原則5年です。時効間近でも、催告や裁判上の請求で完成を防ぐ手段があります。▶ 詳しくは:労災の時効は何年?
労働審判
裁判官1名と労働問題の専門家2名が、原則3回以内の期日で労働紛争の解決を図る裁判所の手続き。通常の訴訟より短期間(3〜4か月程度)で結論が出やすく、労災の損害賠償請求でも交渉決裂後の選択肢のひとつになります。
用語の意味が分かっても、当てはめは個別判断です:ご自身のケースで「どの給付を受けられるか」「会社に何を請求できるか」は、事故状況・雇用形態・症状によって変わります。初回相談は無料ですので、調べて終わりにせず、お気軽にご相談ください。
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状況をお聞かせいただければ、受けられる給付と請求できる賠償を整理してご説明します。初回相談は無料です。

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