後遺障害の等級・不支給決定に納得できない——審査請求・再審査請求の進め方
「これだけ症状が残っているのに14級?」「労災と認められないのはおかしい」——労働基準監督署の決定は絶対ではありません。不服申立て(審査請求)の制度があり、実際に結論が覆る例もあります。ただし期限が短く、同じ主張を繰り返すだけでは覆りません。進め方を解説します。
まず、決定の理由を確認する
決定通知書には詳しい理由が書かれていないことがほとんどです。労基署に問い合わせて認定の理由の説明を受けるとともに、保有個人情報開示請求により、労基署が認定に使った資料(調査結果復命書・医学意見など)を取り寄せることができます。「なぜ負けたか」を知らずに戦っても勝てません。ここが最重要ステップです。
不服申立ての3段階
| 手続き | 申立先 | 期限 |
|---|---|---|
| ① 審査請求 | 労働者災害補償保険審査官 (都道府県労働局) |
決定を知った日の翌日から3か月以内 |
| ② 再審査請求 | 労働保険審査会(東京) | 審査請求の決定書謄本が送付された日の翌日から2か月以内 |
| ③ 取消訴訟 | 裁判所 | 原則、審査請求の決定等を経た後6か月以内 |
※審査請求から3か月を経過しても決定がないときは、決定を待たずに次の手続きへ進むことも可能です。
覆すために必要なのは「新しい医学的資料」です
審査請求で結論が変わるのは、元の決定時になかった材料を出せたときです。たとえば——
- 後遺障害診断書に書かれていなかった症状・検査結果を補う主治医の意見書
- 可動域測定のやり直し、神経学的検査、画像(MRI・CT)の追加検査
- 仕事や日常生活への支障を具体的に示す本人・家族の陳述書、職場の資料
- 認定基準・通達の当てはめの誤りを指摘する法的な主張書面
どの資料が足りなかったのかは、開示請求で取り寄せた記録を読み解いて初めて分かります。この分析と資料の設計こそ、弁護士が関与する意味がある部分です。
等級が上がると、会社への請求額も変わります
審査請求で等級が上がれば、労災保険の給付が増えるだけでなく、会社に請求する後遺障害慰謝料・逸失利益も連動して増えます(等級別の金額はこちら)。14級から12級に上がるだけで、賠償総額が数百万円変わることも珍しくありません。会社との示談は、不服申立ての決着まで待つのが原則です(示談前の注意点)。
期限にご注意:審査請求の期限(3か月)を過ぎると、原則としてその決定は争えなくなります。決定通知が届いたら、納得できるかどうかを判断する前でも、まず一度ご相談ください。
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