アルバイト・パート・派遣でも労災は使えます——雇用形態別の注意点
「バイトだから労災は出ない」「派遣は対象外」——すべて誤解です。労災保険は、雇用形態にかかわらず、雇われて働くすべての人に適用されます。アルバイト、パート、契約社員、派遣社員、日雇い、学生、外国人労働者(在留資格を問わず)——全員が対象です。会社が労災保険の手続きをしていなくても、保険料を払っていなくても、給付は受けられます。
正社員との違いは「ない」が原則
治療費(療養補償給付)、休業補償、後遺障害の補償、遺族補償——受けられる給付の種類は正社員とまったく同じです。給付額の基礎になる「給付基礎日額」が賃金に応じて計算されるだけで、「アルバイトだから減額」という仕組みはありません。会社への損害賠償請求(慰謝料など)も同様に可能です。
派遣社員の場合——申請先と請求先が分かれます
| 労災保険の申請 | 派遣元(雇用主である派遣会社)の労災保険を使います。請求書の証明も派遣元に求めます。 |
|---|---|
| 損害賠償の請求 | 実際に指揮命令をしていた派遣先にも安全配慮義務があります。現場の設備・教育に問題があれば派遣先へ、雇用管理に問題があれば派遣元へ——両方に請求できる場合もあります。 |
「派遣元と派遣先が責任を押し付け合って話が進まない」という相談は非常に多く、弁護士が入って請求先を整理する意義が大きい類型です。
掛け持ち勤務の方へ——複数の職場の賃金を合算できます
2020年の法改正により、複数の会社で働いている方(複数事業労働者)が労災に遭った場合、休業補償などの給付基礎日額はすべての勤務先の賃金を合算して計算されます。たとえばA社で月10万円・B社で月15万円稼いでいる方がA社で被災した場合、合計25万円をベースに補償されます。申請時に全勤務先の賃金資料を出すのを忘れないでください。
学生アルバイト・外国人労働者の方へ
- 学生バイト——飲食店の火傷・切創、コンビニでの転倒など、すべて労災の対象です。「学生だから」と自分の健康保険で治療するのは誤りです(業務上のケガに健康保険は使えません)。
- 外国人労働者——技能実習生・留学生アルバイトを含め、在留資格の種類や就労制限違反の有無にかかわらず労災保険は適用されます。帰国後の継続受給も可能です。
会社が「労災は使えない」と言ってきたら
「バイトには労災はない」「うちは労災に入っていない」という説明は、無知か、労災隠しのどちらかです。労災保険は労働者を1人でも雇えば強制加入であり、会社が未加入・保険料滞納でも労働者への給付は行われます。会社の協力がなくても自分で申請できますので、諦めないでください。
アルバイト・派遣の方の相談も歓迎です。適正な補償と賠償の全体像をご説明します。