工場・機械で指を切断する労災事故——障害等級と賠償額、会社の責任
プレス機・切断機・ベルトコンベア・食品加工機械——製造業の多い愛知県では、機械に指を挟まれて切断に至る労災事故が後を絶ちません。指の切断は日常生活と仕事の両方に一生影響が残る重大な障害であり、労災保険の障害等級認定と会社への損害賠償請求の両方を、正しく進める必要があります。
指の切断(欠損障害)の障害等級
どの指を・どこから失ったかで等級が決まります。代表的なものは次のとおりです。
| 失った指 | 等級 | 後遺障害慰謝料の目安 (裁判基準) |
|---|---|---|
| 1手の5本すべて(または母指を含む4本) | 第6級 | 1,180万円 |
| 母指を含む3本(または母指以外の4本) | 第7級 | 1,000万円 |
| 母指を含む2本(または母指以外の3本) | 第8級 | 830万円 |
| 母指1本(または母指以外の2本) | 第9級 | 690万円 |
| ひとさし指・中指・くすり指のうち1本 | 第11級 | 420万円 |
| 小指1本 | 第12級 | 290万円 |
| 母指の指骨の一部を失った | 第13級 | 180万円 |
※切断せずに残っても、関節が動かなくなった場合(機能障害=「用を廃した」)は、おおむね上記より1〜2級下の等級が認定されます。両手にまたがる場合はさらに重い等級になります。
賠償額の柱は「逸失利益」——喪失率をめぐる攻防
指の切断では、後遺障害慰謝料に加えて逸失利益(労働能力が低下したことによる将来の減収分)が賠償額の大きな柱になります。等級ごとに労働能力喪失率の目安が定められています(8級45%、9級35%、11級20%、12級14%など)。
450万円 × 35% × 約18.3(67歳までの27年に対応する係数)≒ 約2,880万円
※これに慰謝料690万円などが加わります。
会社側は「指を失っても実際の収入は減っていない」として喪失率を争ってくることがあります。しかし、手作業への支障、昇進・転職への影響、痛みをこらえて働いている実態などを丁寧に立証すれば、適正な喪失率を前提とした賠償が認められる余地は十分にあります。ここは弁護士の交渉力が最も問われる場面です。
会社の責任——安全装置は付いていましたか
機械による切断事故では、次のような事情があれば会社の安全配慮義務違反が認められやすくなります。
- 安全カバー・両手押しボタン・光線式安全装置などが設置されていなかった、または無効化されていた
- 清掃・詰まり除去・金型交換のときに機械を停止させない運用が常態化していた
- 入社直後・配置転換直後で十分な安全教育を受けていなかった
- 人手不足で本来2人で行う作業を1人でやらされていた
労働安全衛生法令は、プレス機械等について具体的な安全措置を会社に義務付けています。法令違反があれば、責任の立証は大きく前進します。
治療中に、これだけはやっておいてください
- 事故機械の写真・動画を撮る(安全カバーの有無が分かるように。同僚に頼んでも可)
- 事故当時の作業指示・人員体制をメモに残す
- 労基署の調査には事実をそのまま話す(記録は後に証拠となります)
- 会社からの示談の提案は保留する(サイン前の確認事項)
機械は事故後すぐに改修されることが多く、時間が経つほど「事故当時の状態」の立証が難しくなります。
治療中でも構いません。等級の見込みと賠償額の目安を無料でご説明します。